瀬名秀明「あしたのロボット」を読んだ

確か一年以上前、NYのブックオフで$1で買った本です。瀬名さんはご存知パラサイトイブの作者。2作目のブレインバレーの後半がいまひとつ気に入らなかったことから、ちょっと遠ざかっており、今回の本もとりあえず入手して、そのまま放置プレーだったのですが、ハリケーン襲来で家に缶詰になったもので、読んでみました。
本の感想としては、やはりあまりのめりこむタイプの作家ではないなぁ、という感じではありましたが、ロボットに関して考えるところがいくつかありました。

これについては、本書でも作家の考え方が色々と書かれていましたが、自分としては、人間が営々と作ってきた人間用のインフラをそのまま活用できるという部分が大きいのではないかと思っています。ロボット用に新たにインフラを作るのはものすごいコストでしょうからね。ただ、二足歩行はバランスが難しく、それにこだわり過ぎると開発に遅れが出てしまうかも…

  • アトムは呪縛?

作品の中では、(少なくとも)日本のロボット研究者、開発者は、手塚先生の鉄腕アトムにとらわれすぎて、相当苦労しており、それがロボット開発そのものを妨げているとも言える、と書いてありました。おそらく、いろんな関係者にインタビューをして書いているでしょうから、実際にそういう考え方がある程度蔓延しているのかもしれません。何かを目指すということは、いいことでもあり、逆にそれを超えられなくなってしまったり、超えたとたんに目標を失ってしまったりと悩ましい部分はあるのでしょうね。ただ、テレビの白黒アニメでのアトムのリアル世代(といっても、ほとんど記憶しておりませんが)としては、「アトムのせいにしないで欲しい」という気持ちがありますが。

  • そもそも人は何故ロボットにAIを求めるのか?

これは悩ましい問題(?)ですね。実際、目に触れる記事などを見ている限りでは、今のロボットソフト研究の主流は、大脳的なAIではなく、小脳・延髄的(運動能力制御系)なAIのようです。じゃあ、自分が、人間に限りなく近いAIを搭載したロボットが自分の部屋にいる状況を考えたときに、本当に感情を持つモノとして対応できるのかどうか… ただ一方で、そういう研究が下火になっているのは非常に残念だと思っている自分もいたりします。何故なんでしょう(^_^;?

ちなみに、アトムを題材とした作品としては、浦澤直樹さんのPlutoがすごかったですね。